賃貸向け火災保険を検討中の方へ。お部屋の火災保険は賃貸借契約をよく確認して選んでください!

投稿日:2018年2月21日

まもなく3月。新生活に向けて、引っ越しや新しいお部屋を探し始める方も多くなるかと思います。不動産屋さんを介して大家さんとお部屋の賃貸借契約を結ぶさいに、火災保険の加入を求められます。その火災保険について初めて一人暮らしする方でもわかるように説明したいと思います。最後まで是非お読み頂けると嬉しいです。

お部屋を借りるときにどうして火災保険に加入するよう強制されるの?

火災保険と聞けば、建物などが燃えたときに補償するための保険とイメージしてしましますよね。基本的にはその考え方に間違いありません。火災保険の主たる目的は建物などが火災によって燃えたり、汚れたりしたものを補償することです。

でも、どうしてお部屋を借りるときに不動産屋さんが

賃貸向けの火災保険に加入してください!」

と半ば強制的に言われるかというと、賃貸借契約にその必要性が定められているからなのです。でも、借りる建物やお部屋に火災保険がかかっていなかと言えば既に火災保険はかけられているのです。

「意味がわからない。大家さんが既に建物やお部屋に火災保険をかけているのに、二重で保険をかける必要があるの?」

このように感じられると思います。

この疑問に対して、火災保険を理解いただくことが賃貸向け火災保険を理解いただく方法になるかと思います。では、火災保険の仕組みについて確認をしていきたいと思います。

火災保険の基礎知識について

家庭向けの火災保険は建物か家財が補償の対象となる

火災保険に加入するときに、何に損害が発生したら保険金の支払い対象とするかを最初に選択する必要性があります。

一般的な家庭であれば、

  • 建物(建物の基礎や建物に備付のエアコン)
  • 家財(スマホ・携帯・自転車など)

に対して、補償を付帯するかしないかを選択することになります。大きく、建物に対する補償なのか、持ち物(家財)に対する補償なのか。これが、最初のポイントになります。

 

なるほど、なるほど!大家さんも火災保険に加入しているけど、加入している目的は建物なんですね!

そうよ、大家さんも建物が燃えたら大変だわよね〜。

 
 

でも、自分の持ち物(家財)にどうして保険をかけないといけないと、契約で縛られるのか。よくわからないです。

じゃ、続けて火災保険の基本的に補償する事故についても確認してみるといいわ〜

 

火災保険の基本の基本。6つの補償について

火災保険の補償範囲について主にはこのようなものになっています。最初に主要な6つの事象について確認したいと思います。

火災保険で補償される主たる事故は以下の3つです。

火災保険で必ず補償される3つの補償

  • 火災
  • 落雷
  • 破裂・爆発

お部屋を借りたときの火災保険は保険の対象に建物は入れる必要がなく、自分の持ち物(家財)だけが補償の対象になるので、

「えぇ、こんな補償じゃ保険金を支払ってもらうことはないな〜」

と思われるかもしれません。実は、そんなことは全くないです。意外と多いのは落雷だったりします。私もその恩恵を与った1人です。

落雷により家のインターネットのモデムが壊れてしまったことがあります。落雷が鳴り響く中、家のすぐ近くに“ぴかーん・どーん!”と強い光が走り停電が起き、wifiを介したインターネット回線がダメになりました。

落雷時に強い電流が家電商品に流れたのでしょう。モデムが壊れただけで、その他の家電にはたまたま影響がなかったからよかったですが、エアコンやテレビが壊れてしまったら、10万円以上の出費間違いなしです。

異常気象と言われ続けている昨今、夏のゲリラ豪雨とともに激しい落雷に見舞われることも段々とおおくなってきました。テレビや家のパソコンを落雷から守るという面でも基本補償は必要ですよね。

火災保険で基本的に付帯される3つの補償

  • 風災
  • 雪災
  • ひょう災

風や雪によって持ち物が壊れるということもなかなか考えづらいかもしれませんが、私の先輩が台風の強風でドアがずれて開き、家の中がぐちゃぐちゃになったことがあります。仕事から21時頃に自宅に帰ると

「大変だ!家の中が台風の風でとんでもないことになっている!デジタルカメラを持って来て写真を撮ってくれ!!」

と電話がかかってきました。

先輩の家の窓側にあったデスクトップパソコンは起動しなくなり、ベットもびちょびちょになっていました。本なども雨水でダメになり、最終的には保険金の支払い対象になりました。

当時駆けつけたときの写真が残っていましたので、参考までにアップをいたします。少しだけ窓をあけていたのですが、そこから強風が吹き込み、PCモニターが吹き飛んでしまっているのです。

風によって自宅のPCモニターが吹き飛ばされる

これもゲリラ豪雨の落雷と同じように考えてください。日本列島、北海道にも台風が上陸するという今までには考えられなかったことも発生しています。風による災害に対する準備は必ずしておいた方がいいですよね。

ちなみに、損保で働いている社員なので当然火災保険に加入しております。新しいPCとテレビモニター、その他もろもろ買いなおしをする保険金が支払われました。

強風で窓ガラスが割れる。ここ近年竜巻の発生もよく耳にしますからね。身近でこんなことが発生しても不思議なことではないですよね。

強風には気を付けるカメ~

 

火災保険はどこまで自由に設計できるのか

さて、ここで一回整理をしておきたいと思います。火災保険をインターネットで販売している2つの火災保険商品の基本補償を見比べたいと思います。

お部屋を借りるときの保険(日新火災)じぶんでえらべる火災保険(セゾン自動車火災)
火災
落雷
破裂・爆発
風災自由設計可
ひょう災自由設計可
雪災自由設計可

火災保険で必ず補償されるのは次の3つの原因による事故であり、それ以外の事故については保険商品によって設計が変わります。保険加入を検討するとき

  1. 火災
  2. 落雷
  3. 破裂・爆発

この3つを起因する事故の補償に加えて何を付帯しているか検討ください。保険料の安さだけでなく、きちんと身近なリスクを確認してくださいね。では、続けてどのような補償がオプションとして選択できるようになっているのかを確認したいと思います。

オプションで選べる火災保険の補償内容

水災

大雨などによって家の床上まで水が入ってくることをイメージしてください。家族の衣類からスマホやテレビなどの家電まで水に浸ってダメになることもあります。

マンションの高層階にお住いの方であれば不要な補償でしょうが、川の氾濫が起こる可能性があるところにお住いの方は補償を付帯した方が安心ですよね。

盗難

とてもわかりやすい事例があります。家の敷地もしくはマンション・団地(集合住宅)の共同駐輪場に自転車を置いておいて盗まれるケース。もしくは泥棒が家に入り、現金を含む貴重品を盗まれるケース。これらが保険金の支払い対象になります。

 

実は私も自転車を集合住宅の駐輪場に置いていたところ盗まれたことがあるんです!おまわりさんに届け出をして、保険金請求をしました。

駅の駐輪場ではだめなのよ。あくまでも住んでいるところの駐輪場で盗まれた時が補償の対象になるのよ。

 

水濡れ・物体の落下・飛来・衝突・騒じょう

この事故の事例としてわかりやすいのは、洗濯機の排水口が詰まって床が水びたしになるケースや、トイレの排水口が詰まって水浸しになるケースです。

ただ、気を付けて欲しいのが火災保険の補償は第三者に対する賠償責任保険ではないということです。例えば、マンション住まいの方が水漏れ事故を起こして、下の階にお住いの方に対する賠償は「個人賠償責任保険」で対応をします。

また、マンション組合が管理している給水や排水菅が原因の場合は、マンション組合が補償をしますので、何かが起きたときは慌てず対応するようにしましょう。

水濡れの補償って保険の対象が建物で二階建てにお住いの方は必要な補償よね。万が一水浸しになって、床が浮くようになり、張り替えになったら結構な費用がかかるわよね。

車が家に突っ込んでくるのも飛来になるカメ。でも、突っ込んできた人が自動車保険に入っていればきちんと補償してもらえるはずカメ。

 

破損・汚損

先ほど紹介した火災保険商品の「お部屋を借りるときの保険(日新火災)」や「じぶんでえらべる火災保険(セゾン自動車火災)」にはない補償です。ただ、賃貸住宅に住んでいる方にはとても役立ちます。

例えば、家具を買ってきて家に設置しているさい、勢いあまって壁をへこましてしまった。または、子どもが家のテレビを倒して壊したり、食器棚の食器を割ったり…、壁におもいっきり油性ペンで落書きをしたり。

大人が目が届かないところで、小さな子供が悪気無く偶然やってしまったことに対しても保険金が支払われるのです。大人が自転車で転倒し、大切なお洋服やカバンが破けた場合も保険金の支払い対象となります。

小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では、少し保険料が上がってしまいますが、安心を買うという観点で、このような補償が付帯される火災保険を選んだ方がいいかもしれませんね。大手の損害保険会社であれば、ほぼ対応していますよ。

このほかにも火災保険にはこれらの災害が起きたときに必要経費としてかかる経済的な負担を担保する補償もあります。災害時の諸費用を出す補償ですが、私の知り合いの代理店さんはこれだけはつけておいて欲しいと一押しする補償内容です。

お部屋を賃貸するときに、大家さんは私の持ち物が水災で汚れることを気にする?

さて、話を少し前に戻したいと思います。なんで、お部屋を賃貸するときにこれらの補償が付いた火災保険に入らないといけないのか疑問に思いますよね。私の持ち物に対して大家さんがどうして火災保険で万が一に備えろというのか…。

実は、賃貸向けの火災保険。重要なのはここからなんです。火災保険の特約で大家さんと借主を守る補償が準備されているのです。次はこの特約について確認をしていきたいと思います。

賃貸向けの火災保険に付帯される特約について

借主から大家さんへの賠償保険(借家人賠償保険)

お部屋の賃貸契約を結ぶときに火災保険の締結を義務付けられるのは、この大家さんへの賠償責任保険なのです。

万が一、お部屋を借りた人が大家さんのお部屋に損害を与えたとしても、損害保険で現状復帰できるように保険をかけるようにしているのです。この大家さんへの賠償はどのようなケースが考えられるでしょうか。

火災保険の水濡れの補償を振り返ってみてください。もし、あなたが2階建ての集合住宅に住んでいて、お風呂の水を止めないまま出かけてしまって、床一面を水浸しにしてしまったとします。

借りているお部屋の床はプカプカになり、張り替えが必要に…。1階に住んでいる方のお洋服も汚してしまった。。こんな絵に描いたような事故も現実的に起こりえます。

借りているお部屋の床の張り替えに50万円以上の費用がかかると言われたときに、思わず逃げ出したくなりますよね。

個人賠償保険というのに入っているから大丈夫!」

と思いたくなるのですが、自分が管理しているものは、個人賠償保険では支払いの対象にならないんです。預かりものは、第三者(他人)のモノにならず、自分のものとして考えられるのです。

つまり、お部屋の借主が大家さんへの賠償保険(借家人賠償保険)に加入していないと、万が一のときに大家さんは自腹で修理することになってしまうのです。お部屋を貸す人と借りる人を守るために必要な特約なのです。

また、大家さんへの賠償保険(借家人賠償保険)は基本的には火災保険の特約として付帯することになるので、火災保険への加入が義務づけられるという流れなのです。

 

とてもよくわかりました!お部屋の賃貸契約で火災保険に入るのは、大家さんと借主が万が一の事故で困らないようにするたんですね。

そうよ、どこの保険会社や共済でも構わないのでこの大家さんへの賠償保険(借家人賠償保険)がある保険に入らないとダメよ!

 

借りているお部屋の修理費用(修理費用補償)

大家さんへの賠償保険は、寝たばこによる火災やお風呂のお水を止め忘れることによって発生する水漏れ事故などで建物に損害を与えたときに備える補償なのですが、もう一つお部屋の賃貸借契約について気を付ける必要があるのです。

それは、故意ではなくても借りているお部屋に損害が発生したとき、どちらが補償すると契約に定めているかなのです。

例えば、窓ガラスを割られる、あるいは、玄関のカギを壊されて泥棒が部屋に侵入したとします。お部屋を借りている方の持ち物は火災保険の盗難ということで補償されますが、窓ガラス・玄関のカギの取替や修理代。

誰が取替や修理にかかるお金を払いますか!?

誰がお金を出すかは、お部屋の賃貸借契約に書かれているはずなんです。大家さんが支払うような契約内容であれば問題ありませんが、お部屋の借主が支払う契約になっていれば、借りているお部屋の修理費用も特約で入っておいた方が安心できます。

1家族に1契約(補償)あると安心な「個人賠償責任保険」

「1階に住んでいる方のお洋服を水漏れで汚してしまった」

という例を先ほどあげましたが、第三者の持ち物を壊したり・汚したりした場合に使うのがこの個人賠償責任保険なんです。

とっても便利な保険で、自転車で第三者をケガ(死亡も含む)させても、飼っている犬や猫が第三者をケガ(死亡も含む)させても保険金の支払い対象となるのです。

しかも、保険の対象者となるのが同居の親族、別居の未婚の子などと結構カバーされる範囲が広いです。

地方から都会などに出てくる学生の場合は、実家の火災保険や自動車保険にこの個人賠償責任保険が特約として付帯されていれば、賃貸向けの火災保険に特約として付帯する必要性はありません。

また、東京海上日動などの大手損保会社の個人賠償責任保険は預った財物も保険金の支払い対象とする変更がおきています。少額短期保険会社よりも明らかに補償範囲が広くなって安心ですね。

賃貸向けの火災保険は何年契約にすればいい?

損害保険は全般的に長期契約を一括払いした方が保険料は安くなる仕組みになっています。以前あった、住宅ローン向けの10年を超える火災保険が典型的な例ですよね。

もし、賃貸契約を結ぶ2年間に合わせられるのであれば2年契約が好ましいです。万が一更新を忘れて水漏れ事故を起こしたら…。

火災保険には長期の年払い・月払いという方法があります。長期の年払いとは、契約期間は2年にしながらも、保険料の支払いは分割払いとする方法です。万が一、お部屋を出ることになっても、保険料は月々払いなので、その応当月までとなります。

保険料は2年分を一括払いした方が安くなりますが、解約をしたとしても今は月割りで解約をしてくれます。まだ経っていない年月の払い済み保険料は返戻されます。損はしないのでご安心ください。

賃貸向けの火災保険は不動産屋さんからの加入は義務?

お部屋を借りるときの火災保険について、その必要性など色々ご理解いただいたと思います。あとは加入経路ですが、不動産屋さんから入らなくてもいいです。自らインターネットで探して加入しても全く問題ありません。

重要なのは大家さんとお部屋の借主の間で締結する、賃貸借契約で何を定めたかです。その点だけをしっかり確認してから、賃貸向けの火災保険に加入するようにしてくださいね。

ただし、少額短期保険会社からの加入には要注意点があるのでお伝えしておきます。

少額短期保険会社の火災保険に加入するデメリット

全労済の火災共済に加入するということでということであれば、破損・汚損の面だけ考えればいいとお伝えしたいのですが、少額短期保険会社との契約はきちんと理解してから契約する必要があります。少額短期保険会社はミニ保険会社と呼ばれるものです。

実に少額短期保険会社にはたくさんの賃貸向け火災保険を取り扱う保険会社があります。保険料が安く、なんだか大手損保会社との補償内容にあまり違いが無いのではないかと感じるのですが、きちんとあります。大きく2つの点です。

1つ目が契約できる保険金額が1,000万円以下と定められているのです。先ほどから出ていた個人賠償責任保険は最近は1億円などの保険金額をかけるのですが、1,000万円です。何か大きな事故を起こしてしまった場合、1,000万円超は自己負担になります。

2つ目が個人賠償責任保険に示談代行サービスがつかないということです。つまり、自分で交渉をする、自分で弁護士さんを雇って交渉を行い、保険会社が認めた分だけが保険金として支払われます。

東京海上ミレア少額短期保険、東京海上ウエスト少額短期保険など40社以上少額短期保険会社がありますが、ほんの僅かな保険料の違いで万が一のリスクを残すのがいいのかどうか、しっかり契約前にはご検討ください。

賃貸向け火災保険はどこで加入手続きを行なう

賃貸向けの火災保険は2年間で20,000円程度の保険料で、代理店さんの手数料は約20%前後。このために、わざわざ出向いてくれる代理店さんは少ないと思います。お勧めなのが、ネット加入か駅前や総合施設の中に入っている保険ショップです。

ネット加入の場合は、先ほど説明した破損や汚損の補償が無いことをしっかり理解してください。また、万が一ときは代理店がいないので、自ら動いて対応する必要が出てきます。直ぐに契約できるので、お急ぎの方にはぴったりの契約手段です。

保険ショップの場合は、ネットに出ている日新火災の「お部屋を借りるときの保険」やセゾン自動車火災の「じぶんでえらべる火災保険」についても説明を聞ける可能性があります。きちんと理解できてから加入できます。

話を聞いてから、東京海上日動や損保ジャパン日本興亜社の火災保険についても比較検討をすればいいと思います。新しい住居が決まったら、その足で直ぐにどこの保険会社で契約するか、話を聞きに行くのはいいことだと思いますよ。

最後に

どのような火災保険の補償内容に入った方がいいかは、それぞれのライフスタイルによって異なります。小さい男の子がいるご家庭では特に破損や汚損リスクは高まりますよね。一方一人暮らしでモノを持たない方は全く違うリスクになると思います。

自分で決められない、不安があるという方は保険会社に電話したり代理店さんに相談して補償内容を決めるようにしてくださいね。決して、不動産屋さんから必ず火災保険に加入しなくてはいけないということはないですよ。

賃貸向け火災保険のおススメ動画

ほけんYoutube予備校にアップしている、火災保険に関するアニメーション動画をご紹介いたします。ぜひ、ご覧ください。

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著者の情報

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日吉 浩之自動車保険の専門家
国内系大手損害保険会社でにて主に自動車販売会社の代理店営業を経験したのち、SBIホールディング社にて日本最大級の一括見積もりサイトの運営に従事。生損保約40社とのビジネスを介して、保険のダイレクトマーケティングを行ってきました。現在は株式会社プリモポストの代表取締役として、アニメーション動画(Youtube)を通じて保険をわかりやすく紹介する事業にも取り組んでいます。
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カテゴリー:火災保険,編集長コラム,賃貸向け保険